SONY DSC-T10 レンズの振動を分解修理


DSC-T10の外観

いままでにCyber-shot Tシリーズの中古・ジャンクカメラを9台入手しました。
DSC-T9、DSC-T10(5台)、DSC-T20、DSC-T30、DSC-T77です。

これ以外のTシリーズ、TXシリーズにも共通したレンズ振動の故障があります。ネット情報を参考にするとDSC-T100、DSC-T2、DSC-T300、DSC-T70、DSC-TX5、DSC-TX10などが挙がっています。

リコール対象になった機種は数あるTシリーズの中で唯一、DSC-T20の海外モデルだけでした。

SONYのリコール文章


所有していたDSC-T10の2台にこの故障が発生しました。電源を入れると一瞬だけ「ブン」と振動して止まれば正常なのですが、止まらずに「ブーン」と振動が続くのが故障です。携帯電話のバイブレーションと同じような感じです。

↓振動中でも撮影できますが下の写真のように極端にブレた画像になります。

実際のブレた写真

振動発生源はレンズ内の手ブレ補正部です。カメラの電源を入れると手ブレ補正レンズは中央位置に来るようにイニシャライズ(初期化)動作をします。例えば手ブレ補正レンズ位置が右側に在った場合は左に寄せようとスライドしますが、目的の中央位置で止まらずにオーバーランします。そのオーバーランが繰り返し続いて振動するのです。

スライド軸に塗ってあるグリースの量が減ったり粘度が柔らかく変化するのが原因だと思われます。レンズを分解して別のグリースに替えてみます。



↓6本のネジと前カバーを外しました。後カバーは外す必要ありません。
前カバーを外した


↓赤枠のフレキコネクターの黒い部分を起こし、フレキ2か所を抜きます。
フレキの抜き方


↓カメラ本体からレンズユニットが分離できました。メーカー修理ではこのレンズ一式を交換するだけで、レンズ内部は修理しません。
レンズユニットの外し方


↓レンズの裏側です。赤枠が手ブレ補正部から出ているフレキです。これを抜いたままレンズとカメラを組み立てれば振動せずに撮影することは可能ですが、液晶にエラーコード(E:62:**)が表示されます。(撮影は普通に可能です)
さらに手ブレ補正レンズ位置が中央にコントロールできないため撮影写真の上下左右の何れかに黒いケラレが入ることがあります。完璧を求めないのであれば、赤枠のフレキを抜いたまま組み立てれば修理完了します。

青枠は手ブレ補正部です。黄枠はCCD部です。
レンズユニットの構造


↓レンズの横方向です。赤マークのネジ2個とカバーを外せば、手ブレ補正部を抜き出して分離できます。
レンズの横方向


↓手ブレ補正部を左に抜き出しています。

レンズユニットから手ブレ補正部を引き出す


↓これが抜き出した手ブレ補正部です。1枚の楕円形レンズと、前後・左右のスライドレール2本があります。スライドレールに付着している白い物が余っているグリースです。

このグリースをレールに塗り戻すと、一時的に振動の故障が直る可能性は有ります。

根本的に故障を直すため、この白いグリースを拭き取って別のグリースに交換する事にしました。粘度の硬いグリースが効果的と思われます。

試したグリースは3種類で、1.サンコールグリース、2.モリブデングリース、3.極圧有機モリブデングリース 品番:KY782です。1.と2.は交換後に振動は発生しないが、数日経過すると再度振動が発生しダメでした。

レールに付いているグリース


↓結果として3.のグリースで故障は直りました。その後4年くらい経過しましたが振動の症状は発生してません。
DSC-T10は3台ほど同じようにレンズを分解修理しましたが、グリースは3.の極圧有機モリブデングリース 品番:KY782を使いました。

交換するグリース


レンズの分解修理は難易度が高い上に、手ブレ補正レンズに意図せずグリースが付着します。無水エタノールを使ってのレンズ油膜除去クリーニングが大変な作業でした。



↓以下にDSC-T10の分解写真を載せました。何かの参考にしてください。

後カバーのツメ

シャッター部分の表

シャッター部分の裏

シャッター内部基板

後カバーを外した

液晶を外した

メイン基板を外した

メイン基板表

メイン基板裏

シャーシ1

シャーシ2

CCDを外した


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