EF28-80mm F3.5-5.6 V USM のAF不良を分解

このキヤノンEF28-80mmレンズは、調べてみるとフィルム一眼レフ時代のシリーズ中で5番目の最終製品でした。

EF28-80mm F3.5-5.6 USM     1991年(平成3年)10月発売
EF28-80mm F3.5-5.6 II USM  1993年(平成5年)10月発売
EF28-80mm F3.5-5.6 III USM 1995年(平成7年)8月発売
EF28-80mm F3.5-5.6 IV USM  1996年(平成8年)9月発売
EF28-80mm F3.5-5.6 V USM   1999年(平成11年)4月発売

光学系にカビ・クモリがなくキレイでしたので990円で購入しました。ズームリングが50~80mmくらいで少し重たいのが気になりましたが故障ではない様です。

自宅でテストした結果はAF不安定でした。ズーム域28~45mmくらいでは一応AF動作しますが、それ以上の望遠側ではAF動作しません。

ズームリング回転の重さと関係しているのか?不明ですが分解して調べる事にしました。


外観


↓先ず、簡単に開きやすそうな前玉を外します。フォーカスリングのネジ3本を取ってトントンと下向きにショックを与えると前玉ユニットが落ちるように外れてきます。
フォーカスリングネジ


↓前玉後面と中間玉前面はここでクリーニング可能です。AF不良らしき箇所は見当たらないので元に組み立てました。
前玉分解


↓レンズマウント側にネジは無いのでカバーの隙間にマイナスドライバーを差し込んで外します。
リア


↓このようにカバーが外れますが分解する目的に関係しないのでカバーを元通りに付けてもかまいません。基板に2個の半固定ボリュームが付いてます。これはAFや絞り関係の電気調整が想定されますが何の情報も得られず分かりません。
リア2


↓マウント側の鏡胴カバーをこのように剝がします。写真は2度目の分解で両面テープを貼り替えた後ですが、最初はもっと古い両面テープが全面に付いてます。マウント側の隙間から指のツメで力を入れてカバーをはがす事ができました。
両面テープ


↓鏡胴内部を見ると、絞りユニットに繋がっている黄色のフレキケーブルがあります。トルクの強いピンセットで挟んで引き抜きましたが、先の細いラジオペンチを使った方が安定して良いと思います。
フレキ


↓次はズームのラバーリングを前玉方向にズラします。そして3か所のネジと金色のカラーを取ります。
ラバーリング


↓このように軽く引き抜くだけで鏡胴が分離します。フォーカスリングがフリーになって回るのでズームリングとフォーカスリングをテープで止めておく方が無難と思います。
分離


↓引き抜いて分離した後玉側です。AF機構ユニットと基板が付いてます。後玉鏡胴から分離するにはシルバーのネジ2本を取ります。さらにカメラボディとの接点を横から止めている黒い小さなネジ2本も取ります。AF/MFスイッチのかみ合わせ箇所を外すと分離できます。

ここにAF不良の原因がありそうですが見た目では特に異常ありません。後回しにして次の工程に行きます。
後面


↓前玉側鏡胴を逆さまにしたら意図せずに中間玉が抜け落ちてきました。(熊手のようなズームエンコーダ用ブラシは外す必要ありませんでした)中間玉を元に戻す時は3本の螺旋レールに合う位置は1箇所だけなので、迷って困る事はありませんでした。
後面2


↓これが中間玉です。3本のネジを取ると前側レンズ1枚(絞り機構付き)と後側レンズ3枚組に分離するのでクリーニング可能ですが後側の3枚は一体構造なので単体レンズにはなりません。ここでもAF不良らしき箇所は感じません。
中間玉


↓後玉鏡胴から分離した基板とAF機構です。2箇所のフレキケーブルを抜くにはコネクターの白い部分を2~3mmスライドさせた後に引き抜きます。
基板


↓AF機構が分離できました。特に異常は感じないので、続いて2本のネジを取ってUSMモーターを外します。
AF機構


↓USMモーターの白いギアを指で回すと結構なトルク負荷を感じます。「重い・キツイ」のです。金色ナットを取って分解しようと試みましたがナットが固くて回らないので止めました。
モーター


↓ボディと回転部は内部バネで圧着している様で、ツメで押し広げると少しの隙間が出来ます。モリブデングリースを紙片に付け隙間に差し込んで塗りました。結果は回転トルクが指の感覚ではっきり分かる程度に軽くなったのです。

「これが原因らしい!」と喜んでレンズ内部をクリーニングしながら組み立てました。ズームエンコーダ接点もクリーニング&接点復活剤を塗布しました。
グリース


さて!カメラに取り付けてAFテスト結果は・・・「ダメ」でした。
基板の半固定ボリュームも分からないまま調整してみました。「ダメ」でした。(元の位置に戻した)

現在のAF不良の症状は分解前とは違って、ズーム45mm付近のみ正常にAF動作します。何が原因でしょう?


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