IXY DIGITAL 110 ISピンボケAF不良を分解修理
小さなボディが手のひらに丸く収まって可愛いいのですが、右手親指の置き場がなくグリップ感は良くありません。
何となく特徴として挙げるとすれば、長期間放置してもバッテリーの自然放電が少ない印象のカメラです。
何となく特徴として挙げるとすれば、長期間放置してもバッテリーの自然放電が少ない印象のカメラです。
↓久しぶりに使ってみたら静止画も動画もピントが合いません。シャッターボタンを半押しするとAF動作の「ジ・ジ」音は出るのでAFモーターは動いてますが、背面ランプが黄色点滅してピントが合ってない事を表しています。
液晶画面にエラーメッセージは出なく、シャッターは切れて画像も保存できます。
液晶画面にエラーメッセージは出なく、シャッターは切れて画像も保存できます。
↓分解しました。外装ネジは長さと形状の違いで3種類6本あります。リアカバーを下から開きながらフロントカバーを外しました。リアカバーはシャッター部分の上カバーを残した状態でアルミ部分だけを外すとスムーズです。
↓後面です。ボディが小さいので液晶が大きく感じます。右側の基板に操作スイッチ類が並んでます。
↓前面です。画像処理エンジンDIGIC4が見えます。レンズの右側はフラッシュユニットで感電しない様に注意が必要。
↓上面です。左側の黒色で丸いのがスピーカー、右の黄色フレキ基板に電源スイッチ・ズームスイッチ・シャッタースイッチ・日付/時刻バックアップ電池が見えます。
↓日付/時刻バックアップ電池は、SIIセイコーインスツルメンツ製MS614SEでした。
↓液晶を分離するには左右の金属フレームを外し、黒ネジ1本を取って、カメラ前面のフレキケーブル2本を外します。
↓背面シャーシの赤色枠ネジ6本を取りますが、左2本と右4本はサイズ/形状が異なるので組み立てる時に注意が必要。
↓フラッシュユニットのフレキ1本を外します。レンズから出ている2種類のフレキコネクターは持ち上げるだけで楽に外れます。そして前面ランプを外すとレンズユニットが分離できます。
↓レンズユニット前面です。上に光学ファインダー、右下にズームモーターがあります。
↓レンズユニット後面です。赤色枠にフォーカス機構があります。今回は実施しませんが、例えばCCDに付いたゴミをクリーニングするには半透明ボンドの付いたネジ3本を取ってCCDを外す事になります。
↓光学ファインダーを外しました。レンズユニットのズーム機能と連動してファインダーのレンズもズームします。
↓フォーカス機構の金属カバーを外しました。右上の黒いギアがフォーカスモーター軸に圧入してあるギアです。
↓ピント不良の原因が解りました。赤いギアはフォーカスレンズを動かす役目をしますが、矢印の所にヒビ割れがあります。ギア山の間隔が広がっており、この広がった部分で白いギアが嚙み合わずフォーカス動作が停止するのです。
↓赤いギアは金属軸に圧入してあったために経年劣化で膨らんでヒビ割れが発生したと思われます。ノギスで測定してみると金属軸は直径1mm、赤いギアの外径は3.3mmでした。この小さいギアを加工&手直しするのは無理と思いました。
でも、数日いろいろ考えた結果・・ダメ元でやっちゃいましょう!(直す自信はゼロ)
でも、数日いろいろ考えた結果・・ダメ元でやっちゃいましょう!(直す自信はゼロ)
↓自宅にある物だけで何とかします。①中心穴を1.0Φ以上に広げるヤスリ、②カッターナイフ、③ギア山の広がりを戻すために、お湯に漬ける時の固定用クリップ、④ゼリー状瞬間接着剤などを用意しました。顕微鏡は持ってないのでヘッドルーペとハンドルーペを2重に使っての作業です。
↓およそ、こんなサイズのギアになりました。隣の白いギアとの嚙み合わせに異常は無いようです。金属軸に圧入すると割れるに決まっているので、1.0Φから1.2Φに広げた穴にゼリー状瞬間接着剤を付けて金属軸に挿入/接着しました。
強度的には、AFレンズの駆動トルクは小さいと想定されるため、接着力だけで大丈夫のはずです。
↓カメラを組み立て、撮影テストしたら、ちゃんとピントが合ってます。「直ったわー!」。修理したギアからの異音発生もなく、マクロから遠景まで正確にピントが合います。ピンボケ発見から数週間経っての解決です。ウレシー♪
調べてみたら、このIXY DIGITAL 110 ISのレンズユニットはIXY DIGITAL 20 IS、25 IS、95ISと同じ物らしいです。
別のカメラCanon IXY DIGITAL L4の場合はプラスチックギア割れの修理に失敗しました。参考にどうぞ。